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メンタルヘルス

ストレス性微熱・動悸・不眠 — エンジニアが見逃しがちな身体症状とその意味

by Leon

エンジニアという仕事は、肉体労働ではない。デスクに座って、画面を見て、キーボードを叩いているだけだ。だから「身体が壊れる」というイメージを持っている人は少ない。

でも実際には、エンジニアの仕事は静かに身体を削っていく。私自身、これまでに微熱・動悸・不眠・蕁麻疹といった身体症状を、すべて仕事のストレスを原因として経験している。当時はどれも「原因不明」「気のせい」で片付けようとしていた。今振り返ると、身体は明確にSOSを出していた。

この記事では、エンジニアが見逃しがちな4つの身体症状について、私自身の体験を整理する。同じような症状で「気のせいかも」と思っている人が、専門機関に相談する一歩を踏み出すきっかけになればと思う。

1. ストレス性微熱 — 1ヶ月続いた37度台

一番深刻だったのは、テックリードをしていた時期の微熱だった。

当時、私は美容系の自社開発企業でテックリードを担当していた。リリーススケジュールは決まっていたが、開発はなかなか思うように進まない。進捗会議では毎回、特定の関係者から強めに詰められる立場にあった。立場上、開発の遅れを自分の責任として受け止めるしかなく、毎週その場をどうにかしのいでいた。

ある日から、夕方になると体温が上がるようになった。37.0度〜37.4度。風邪の前触れかと思って様子を見ていたが、1週間経っても引かない。内科に行くと「不明熱ですね」と言われ、念のため血液検査もしたが、炎症反応も感染症の数値も出ない。

結局、微熱は1ヶ月続いた。

ストレス性の微熱は、医学的には「心因性発熱」と呼ばれている。自律神経の働きが乱れることで、感染症がなくても体温が上がる現象だ。日本心身医学会の資料でも、慢性的なストレス下にある人で微熱が長期化するケースが報告されている。

身体科の検査で異常が出ない微熱は、ストレスを疑った方がいい。これは私が1ヶ月かけて学んだことだ。

2. 動悸 — 新卒時代のコードレビュー

動悸を初めて自覚したのは、新卒1年目だった。

当時の私はジュニアエンジニアで、配属されたチームには攻撃的なレビュースタイルの先輩がいた。PRを出すたびに、コードの粗を厳しく指摘される。技術的に正しい指摘も含まれていたから余計に逃げ場がなかった。

数ヶ月経った頃から、PRを出すボタンを押す前に心臓が速くなるようになった。レビューコメントが届いた通知音だけで、胸が圧迫されるような感覚があった。

これは結局、転職して別の環境に移ったら自然と消えた。問題は私の体質ではなく、特定の人間関係と心理的安全性が低い職場環境にあったということだ。

動悸が「特定の状況下でだけ出る」場合、その状況そのものが身体に影響を与えているサインの可能性がある。私の場合は環境を変えることで解決したが、すぐに環境を変えられない人は、専門家に相談しながら対処法を整理した方がいい。

3. 不眠 — ずっと続くなら警戒した方がいい

エンジニアの不眠は、ある意味で「あるある」の領域に入っている。リリース前に眠れない、本番障害の翌日に眠れない、というのは経験のある人が多いはずだ。

問題はそれが慢性化した時だ。

私の場合、テックリード時代の微熱とほぼ同じ時期に、夜中の3時に目が覚めて寝付けないという状態が続いた。一時的な寝つきの悪さなら気にしなくていいが、「中途覚醒が2週間以上続く」「眠れない原因に思い当たることがある」場合は、身体が慢性的なストレス状態に入っているサインかもしれない。

不眠は、放置すると判断力や感情のコントロールが落ち、さらに仕事のパフォーマンスが下がる悪循環に入る。エンジニアにとってこれは致命的だ。コードレビューでミスを見落とす、設計判断を誤る、人と衝突しやすくなる。仕事の質を落とさないためにも、不眠が続いている時点で何らかの介入を検討した方がいい。

4. 蕁麻疹 — 新卒の春に出た原因不明のじんましん

これは新卒で会社に入って数ヶ月経った頃の話だ。

ある日突然、腕や背中に蕁麻疹が出るようになった。皮膚科に行っても「アレルギーかストレスでしょう」と言われ、抗ヒスタミン薬を処方されただけだった。当時の私は「新卒だから疲れているのかな」程度に考えていた。

今振り返ると、明らかにストレスが原因だったと思う。新しい環境、慣れない業務、評価されることへのプレッシャー。新卒のエンジニアが感じる負荷は、本人が思っているよりずっと大きい。

蕁麻疹は「皮膚に出るストレス反応」として知られている。原因不明と言われた場合、身体科では対処しきれないストレス由来の可能性を考えてみていい。

なぜエンジニアは身体症状を見逃しがちなのか

ここまで4つの症状を振り返って、共通していることがある。どれも「身体の問題」として処理しようとして、内科や皮膚科に行き、原因が特定できないまま長引いたという点だ。

エンジニアは論理で問題を解決する職業だ。だからこそ、「身体の症状=身体の異常」という因果で考えてしまう。原因が特定できないと、「気のせい」「自分が弱いだけ」と自己責任化しやすい。

でも実際には、ストレスは身体に出る。それも、本人が「ストレスを感じている」と自覚するより先に、微熱・動悸・不眠・蕁麻疹といった形で出てくる。身体は頭より正直だ。

専門機関に相談するという選択肢

私が微熱に悩まされていた時、最終的に状況を整理できたのはオンラインカウンセリングだった。

それまでの私は、「カウンセリング=深刻な人が行くもの」というイメージを持っていた。でも実際に話してみると、カウンセラーは診断するのではなく、自分が抱えている状況を一緒に言語化してくれる存在だった。

エンジニアにとってカウンセリングが有効なのは、「業務上の悩みを社内の人に話せない」という構造的な問題があるからだ。チームメンバーには弱みを見せられない、上司は評価者だから本音は言えない、家族や友人に技術職特有の文脈は伝わりにくい。第三者で、守秘義務があり、訓練を受けたカウンセラーに話すというのは、思っている以上に効く。

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私が実際に利用したのが cotree(コトリー) というオンラインカウンセリングサービスだ。

cotree を選んだ理由はいくつかある。

・オンライン完結で、地方や深夜でも利用できる

・臨床心理士・公認心理師の有資格者がカウンセリングを担当する

・自己分析ツール(ストレスチェックや傾向分析)が無料で使える

・単発でも継続でも利用できる料金体系で、初回からハードルが低い

カウンセリングは保険適用外なので、心療内科より費用はかかる。ただ「身体科で異常なし」と言われ続けて何ヶ月も悩むより、最初に1回相談した方が結果的に時間も健康も守れた、というのが私の実感だ。

身体に何かが出ている時点で、すでに介入が遅れている可能性が高い。微熱・動悸・不眠・蕁麻疹のどれかに心当たりがあるなら、専門家に話を聞いてもらう選択肢を、頭の片隅に置いておいてほしい。

なお、強い体調不良がある場合や精神症状が深刻な場合は、まず心療内科や精神科の受診を優先してほしい。カウンセリングは医療の代わりではなく、医療と並行して使える整理ツールとして位置づけるのが現実的だ。

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